与論島は美しいサンゴ礁に囲まれた島で、ダイビングのメッカとして昔から多くのダイバーに愛されてきました。島の周囲は環礁に囲まれ、リーフの中も外もサンゴが埋め尽くす命溢れる海でした。
しかし、1998年の世界的な海水温上昇により、与論島のサンゴも壊滅的な打撃を受けました。大部分が白化し、特にリーフ内での影響は大きく、ほとんどのサンゴが死滅しました。その後、サンゴ礁は緩やかに回復していますが、他の地域に比べて回復度が低く、何らかの阻害要因があるということがわかってきました。
原因究明とサンゴ礁再生の取り組みとして2000年より毎年2回、島内のダイビング事業者(与論島ダイビング事業組合)と島内外のボランティアダイバーが集まり、リーフチェックという手法でサンゴ礁の状態調査を行ってきました。その後、さらに行政や観光事業者や漁協、NPOなどを含めたサンゴの再生活動の主体として、「ヨロン島ウルプロジェクト」が発足、海の再生活動を拡げています。
また、2007年には与論町にて「サンゴ礁基金」を設立し、広く一般の方々から寄付を募り、サンゴ礁の再生を含めた島の振興に努めています。
年に2回、島の北側と南側のダイビングポイントを定点観測し、サンゴ礁の回復度や健康度を調査しています。調査方法は海底に張られた100mのメジャーに沿ってサンゴの被服度や生物情報を記録していきます。収集されたデータは、与論島でサンゴ礁再生のための対策に使用する他、リーフチェック本部に送られ世界のサンゴ礁再生のためのデータとして活用されます。
サンゴ礁の回復遅れの原因究明と具体的な対策のために大学・研究機関と連動して与論島周辺海域の調査・研究を行っています。
サンゴの被度、サンゴの個体群調査、稚サンゴの加入・定着調査など、与論島周辺海域でのサンゴの定着・発育調査を行いました。その結果、稚サンゴの着床率が低く、サンゴ礁回復のためには人為的な措置が必要であることがわかりました。また、今年から与論島にて三井造船と九州大学の共同で電着技術によるサンゴ増殖実証試験が行われています。
与論島の陸域・周辺海域で採水調査、豊栄養化物質のサンゴへの影響に関する検証実験を行い、人的影響が与論島の海域とサンゴにおよぼす影響を検証しました。その結果、陸上の余剰窒素分(肥料・牛の糞尿・家庭排水など)が地下水を通じて海に流れ込み、サンゴの育成に影響を与えている可能性が高いことがわかってきました。また、法学・経済学の観点からも、人間の活動がサンゴ群集生態系に及ぼす影響を最小限に抑える方策を検討しています。
ダイバーの記録するログ(潜水記録)をインターネット上のサイトで入力してもらい、データベース化、海の状態を年間を通して把握・解析できるようにします。分析結果はサイトに表示して一般に公開・学術機関と連携し、蓄積されたデータと解析結果をもとにサンゴ礁再生の手立てを講じます。
また、海の状態を予想できるプログラムや、撮影した写真やビデオを公開する場、掲示板などを用意し、ダイバー間の交流を深められる仕組みを提供します。
与論島の豊かな自然環境・地域資源の保全や文化・芸能の伝承等を図るために与論町が2007年に基金を設立しました。島内外を問わず、与論島を愛する方々から広く寄付を募り、サンゴ礁保全や島づくりに資します。
サンゴと海の再生のための調査・研究を継続するとともに、九州大学の野島教授が実験的に行ってきたセラミックを利用した稚サンゴの定着・育成実験を引き継ぎ、着床した稚サンゴを育成し植え付けを行います。
また、陸の環境保全も視点に置き、ウルプロジェクトを行政、農協、製糖工場なども含めた「海の再生協議会(仮称)」に発展させ、島一体となったサンゴの海再生に取り組む計画です。
| 与論町 2010年9月6日 7:14 更新
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